こんにちは。
ロンドン駐在員のかえる2号です。
赴任前は心配も多く、海外赴任前のおすすめ本などを調べては色々な本を読みました。
私の駐在員生活を経て、自信を持っておすすめできる本をピックアップしました。
海外外赴任予定の方・海外で働きたい方などにぜひ読んでいただきたい本です。
あまり無駄に沢山の本を紹介したくないので、次の視点から整理しました。
・イギリス(海外)で仕事をする上で、ためになったことがあるか。
・海外生活で活かせるものがあったのか。
読んでよかったな、と思う本は沢山ありました。
本は自分が経験していない知識や体験を得られる貴重なものだと思いますが、それが読後も自分の中に残るものとなると、大分絞られると思います。
今回ご紹介するのは、私の中に何かを残してくれた本たちです。
海外での仕事で立ち止まった時や、思うようにいかないときに、もう一度読んでみようと思える本たちです。
それでは第1位から順にご紹介していきます。
第1位:異文化理解力
正直言って個人的にはダントツの1位です。
著者のエリン・メイヤー氏は、フランスとシンガポールに拠点を置くビジネススクールINSEAD客員教授です。異文化マネジメントに焦点を当てた組織行動学が専門で「次世代の最も有望な経営思想家」(Thinkers50)にも選出されているそうです。
異なる文化圏の方と仕事をする人にはぜひ読んでほしいと思います。
まずは出版社の紹介文はコチラ。
文化の違いがビジネスコミュニケーションにどのように影響するかを示した「カルチャー・マップ」を開発した著者が、育った環境や価値観が異なる人と確かな信頼を築く技術を伝授します。海外と関わる全てのビジネスパーソン必携の一冊です。
出版社紹介文より
「文化の違いがビジネスコミュニケーションにどのように影響するのか」
との一説があります。
この本の素晴らしいところはまさにここで、文化の違いがもたらす影響を、ビジネス(仕事)を行う上で重要なマネジメント項目から体系的にまとめられているのです。
ここでいうマネジメント項目とは、次のようなものです。
- コミュニケーション
- 評価
- 説得
- リード
- 決断
- 信頼
- 見解の相違
- スケジューリング
これだけだとわかりにくいので、1番の「コミュニケーション」を例に、どういった事が説明されているのか少しだけ紹介します。
各文化圏でのコミュニケーション方法においては、ローコンテクスト・ハイコンテクストといった表現がなされます。
コンテクストとは「文脈」の事で、いわゆる「暗黙の了解」のような共通認識があるかどうか、という文化的なバックグラウンドからくるものです。
日本はハイコンテクストの文化とされ、共通認識が強い文化です。
そんな我々がアメリカやイギリスなどのローテクスト文化圏の人に仕事の指示を出すとどうなるでしょうか。
「こう指示すれば、このぐらいやってくれるだろう」
「こう言えば、その背景にある意図や雰囲気を察してくれるだろう。」
このような期待は見事に裏切られるでしょう。私も沢山経験しました。
日本で仕事のやり取りをする中では、こちらのインプットとアウトプットは大体一致しますが、アメリカやイギリスなどのローコンテクスト文化圏の人には通用しない事が多いです。
ローコンテクストの文化では、シンプルに曖昧さがないコミュニケーションが好まれます。
人によっては、「まあ確かにアメリカ人はストレートにものを言うよね。それならこっちもストレートに言えばよいじゃん」と思うかもしれません。
ある時は正解かもしれません。
でももしあなたがそのアメリカ人の上司で、業務評価でダメな部分をストレートに伝えるとどうでしょう。
そのアメリカ人は不満や不公平感を感じ、自分の仕事が全くもって評価されていないと感じてしまうかもしれません。
これは実はアメリカは、ネガティブなフィードバックは間接的に伝える文化だからです。
・・うーん、興味深いですよね。
この本では、こういった文化の違いからくる差異を、各国の文化に応じてマッピングし「カルチャーマップ」として可視化しています。
「異文化理解力」は、海外駐在員は必読の一冊だと思いますが、日本で異なる文化圏の人と仕事をする人にもおすすめです。
著者の海外赴任時の経験を語るような本だと「海外でこのような違いから苦労した。私はこうしてうまくいった。だからこういった姿勢が重要なんだ。」というようなアプローチのものがあったりました。
それを読むと、確かにその文化圏でうまくいった一例ではあり、それはそれで重要なのでしょうが、果たしてそれが普遍的なナレッジになりうるのか。
赴任地が違っても活用できるのか、ちょっと疑問が残るものも結構ありました。
そういった観点では、本書は数国の経験に収まらない範囲で異文化と向き合っていて、世界のどの国に赴任する方でも活用できるものだと思いました。
あと、洋書ではありますが、例として日本がちょこちょこ出てくる所が良かったです。
あ、我々日本人はこう見られているんだな、というのが分かります(笑)
この本は仕事をしていない帯同のご家族にも非常に良いと思います。
その理由を、私のこの本を通して得たこと。からもう少しお話させてください。
異なる文化を認める力
少し大げさではありますが、私はこの本を通じて「異なる文化を認める寛容さ」が身についたと思います。
言葉で言うのは簡単です。
いろんな国・文化があってみんな違うのは当たり前です。
でもこれをもう一段深いところまで落としてくれるような感覚があります。
海外で仕事、生活していると次のような不満を聞いたりすることがあります。
「本当にこの国の人は通じない!」
「また○○してくれなかった。」
「何考えてるのかさっぱり、日本じゃありえない!」
「日本人はなんだかんだ優秀だよね。ちゃんと細かいところも見てくれるし」
「あいつはいっつも文句ばっかり!ほんとにダメだなー。」
こんなことを言っていつもイライラしてる人もいます。
そういう人を見ると私は「そんなイライラしてストレス溜まるだけなのに。。」
と思います。
まぁもちろんホントにおかしな事言ってる人もいますよ( ´∀` )
ただ、そうではない場合があります。
特に「伝わらない」・「文句が多い」などからくるすれ違いの原因は異文化への理解が足りていない事で起こる傾向が強いと思います。
この国の人はこういう文化だったな・・という理解の上で接することで、同僚や取引先・日常で接する人たちの言動に不必要にイラついたりすることが少なくなります。
仕事、日々の生活でこちらの思い通りにならない時、それを外(他人)のせいにしてしまいがちです。
でも本当に「彼ら」が悪いのでしょうか。
「彼ら」のやり方がおかしくて、我々が正しいのでしょうか。
この本は、人それぞれの個性の範疇で片付けられない違いを、文化的な視点から見る方法を教えてくれるでしょう。
もしよかったら、皆さんも手に取ってみてください。
第2位:日本人が海外で最高の仕事をする方法
著者の糸木さんは、東芝を経て1990年にソニー入社。
1993年から20年に渡り9か国に海外赴任。販売会社の社長や欧州本社でのマネジメントなどを歴任された経験をお持ちです。
Amazonの商品ページでは以下の説明があります。
20年、9か国の海外赴任。先進国も途上国も、新ビジネスも工場閉鎖も、現場も社長も経験した著者が七転八倒のストーリーで語る、多様な世界=これからの時代を生き抜くための「心の使い方」。
Amazon商品説明より
こちらにある通り、海外畑を一貫して歩んできた経験から、海外で仕事をする上での心得を本書に記しています。仕事の内容としては広報や営業関係の話が多いです。
この本は第1位の「異文化理解力」のような、体形的にまとまっている本ではありません。しかし、著者の経験談を追って成功に繋がった要因はなんだったのか、それに迫る事ができます。
この方の海外赴任の経験はとても豊富で、そのエピソードも非常に興味深く素直に楽しんで読むことができます。
立場としてはマネージャや現地法人社長などの経験を語っており、私のような一介の駐在員とは大分立ち位置が異なります。
本を読む限り、おそらく著者はとてもバイタリティーに溢れていてコミュニケーションに長けている方なのだと思いました。
正直私は自分自身がそのようなタイプだとは思いません。著者の経験や成功体験は非常に素晴らしいものだと思いますが、同じような行動を私がとることは不可能でしょう。
ではなぜこの本をおすすめするのか?
それはこの本が、著者の経験を通じて「現地文化を知る」事の大切さを教えてくれるからです。
本に描かれている成功体験は、著者の才覚が成せる技だと思います。ですがそのアウトプットは、内から勝手にでてきたものではなく、現地文化や人を知る事・知ろうとする事から生まれたものだったという点です。
海外赴任となっても、今やインターネットでどこでもつながり、ほとんど日本と同じように生活することもできてしまいます。それは良い点でもあると同時に、悪い点になることもあるかもしれません。
特に駐在員として働く場合は、現地の人たちの考え方や文化を知る事が非常に重要になってきます。
仕事をしていると、「あ、そうかこの国の人たちはこういう生活背景があるのか。だからこういう意見・要望が出てくるのか」といった気づきがあります。
こういった視点の大切さですね。そういったものを改めて気づかせてくれる本だと思います。
日本から見ると「ヨーロッパ」とか「EU」とかで一括りにされがちですが、ヨーロッパといっても各国それぞれに違いがあり、そのため人々の意見も異なります。ある国では成功したのに、ある国ではダメなんて事もあります。
駐在員として現地文化に触れる事の大切さを知ることができる。
そういった観点から第2位とさせていただきました。
第3位:7つの習慣
全世界で3000万部を記録した大ベストセラーですので、読まれた方も多いと思います。
え、海外赴任関係ないって?
はい、すいません確かに「海外赴任」には直接関係ありません。
おすすめできる本を改めて整理していて、海外赴任関係の本を再度整理していたのですが、3つ目の本がありませんでした( ´∀` )(笑)
というのも、読んだ本自体は沢山あって、これが3位かな・・と色々悩んだのですが、「自分の中に何かを残してくれたか」という観点で整すると、第1位,2位の本以外はすべて「選外」となりました。
そこで、じゃあ海外赴任するにあたって活きている事は何だろうか、と考えた時に「7つの習慣」が躍り出ました。非常に感銘を受けた本で、本来の順位はもっと高いかもしれませんが、「海外赴任」ネタが本書に含まれていないために第3位としました。
著者スティーブン氏は、世界各国の政府や企業のリーダーに対して広くコンサルタントとして活躍された方で、残念ながら2012年に亡くなっています。
Amazon商品ページの紹介内容によると、
自分の運命を自分で切り開くための奥深いアドバイスをわかりやすく教えることに生涯をささげ、タイム誌が選ぶ世界で最も影響力のあるアメリカ人 25人のひとりに選ばれている。
Amazon商品ページより
だそうです。
この本は、ビジネスだけでなく、人生をどのように生きるのか、を考えさせられる名著です。
ではなぜ海外赴任者におすすめなのか。
私がこの本を読んで心に残っている一説があります。
かなり序盤で出てくるのですが、「反応の選択」というものです。
日々の生活の中で、友人や妻の言動にイラついたり、感情的になって喧嘩してしまったり、といったことがあります。
でもそれは、あなたが「怒ること」や「嫌味を言う」といった事を選択しているのだ。と書かれています。
これを読んで私はハッとさせられました。
「怒らない」選択肢もあったのに。
嫌味を言えば、さらに状況が酷くなることがわかっているのに「つい」言ってしまった。
これはすべて私自身が選択した事だったと思い知らされました。
駐在員として働くことは大変です。
現地スタッフと日本からの要望の板挟みに合う事も多いです。
ただでさえ忙しいのに、色々とボールが投げられ、無理難題をひょいっと投げられる事もあります。
「できるかっ!お前がこっちきてやってみろよ!」
・・って思う事もぶっちゃけあります。
また、現地スタッフの日本流と異なるアプローチや理解の違いから、ついイラッとなることもあります。
そのような時に、自分はどのように反応するべきでしょうか。
一度頭の中で立ち止まって、「反応の選択」をしましょう。
この考え方は、私が駐在員として働くうえで大いに役に立っていると思います。
不必要に負の感情を揺らされる事が減ったのは、この本のお陰ではないかと思っています。
私が感銘を受けた一説をご紹介しましたが、
この本には他にもまだまだ色々な考え方や物事の捉え方が紹介されています。
もし読まれた事がない方は、ぜひ読んでみてください。
おまけ:その他の本
ここまで私の厳選3冊をご紹介してきました。
おまけとして、「駐在者は絶対読んだ方がいい!」とは思いませんが、違う視点で良かった本を簡単にご紹介します。
ヨーロッパがわかる -起源から統合への道のり-
2013年なので少し古いのですが、ヨーロッパの起源からEU統合までの歴史を知ることができる良著でした。
私は、海外赴任前はヨーロッパ旅行も言った事がなく、歴史好きでもなかったのでヨーロッパの国々の歴史や変遷はまるで知りませんでした。
そんな時に手に取ったのがこちらの本です。
前半は紀元前とかそのあたりから入るので、正直私にはちょっと眠かった(笑)
ただ特に世界大戦あたりからの近代史は、非常に興味深く読む事ができました。
戦争を経て、ヨーロッパ各国がEUとしてまとまっていく様は、単純に「すごいなぁ~」と感じました。※表現力低すぎ・・( ´∀` )
また、欧州各国の関係性の片鱗を感じ取ることができました。
今やイギリスはEUを離脱し、また新たな歴史の中にいるのかと思うと面白いですね。
海外赴任のために必要なこと
次は「海外赴任のために必要なこと 駐在員家族のメンタルヘルス」という本です。
副題についている通り、駐在員ではなく「駐在員家族のメンタルヘルス」に着目した本です。
著者はいわゆる「駐在妻」の立場での経験から、駐在員家族がどのような精神状態で海外生活を過ごすのかについて本書にまとめています。
家族がどのような気持ちで海外赴任を過ごすのかを知る事ができ、まぁそれなりに面白く読めました。
私は今30代ですが、著者はもっと上の世代だと思いますので、読んでいて少し世代間の感覚のギャップも感じました。
あと著者はなんだかんだアクティブなタイプの方なのだと思います。
内に籠るタイプの方が読むと、少し違うなと思う箇所もあるかもしれません。
「駐在員家族」に着目している本はあまりなく、その点で面白かったのでご紹介します。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
ただ、私が実際に読んで「これはっ!」と思った本をできる限り私の言葉で紹介したつもりです。
皆さんにとって読んでみたいと思える本があったなら嬉しいです。
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