駐在員の残業時間は多い?駐在員のつらさとやりがい。

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みなさんこんにちは。
ロンドン駐在員のかえる2号です。

かえる2号
今日は、駐在員の「残業時間」「つらさ・やりがい」についてお話しようと思います。
忙しそう?休みは旅行で悠々自適?いろんなイメージがあると思いますが、私の駐在員としての実態を公開します。

駐在員の残業時間の実態

まず最初に、駐在員の残業時間をご紹介します。

かえる2号の過去の勤務時間メモを元に残業時間を集計しました。
1日8時間・土日休みを基準とし、それ以上を残業として計算しています。

それがこちらです!

かえる2号
最大で89.5時間、最も少なかった月が36.5時間です。
想像よりも多いでしょうか?それとも少ないでしょうか?

集計した6か月分を平均すると月平均56.8時間となりました!
ひと月の実働日数が20日とすると、一日平均2.8時間です。

コロナウイルスが流行する前は、国内や海外出張の機会も多かったため、それに伴い総残業時間はもう少し多かったと思います。

参考として、私が日本で働いていたころの平均残業時間は、大体20~35時間/月くらいでした。もちろん時期によってばらつきますが、平均すればこのくらいだったと思います。
日本では多い月で約50時間/月くらいでしたので、駐在員になってからの平均残業時間が日本での最大残業時間を超える形になっています。

日本勤務に比べて大幅に残業時間が増えた事がわかると思います。

残業時間は業界・職種によっても異なるので、駐在員と言っても一括りにはできません。私の知人でもあまり残業時間はないという方もいれば、もっと働いている方もいます。

ただ私の印象では、日本から派遣されている駐在員の残業時間は通常多くなります。

残業代は出るのか?

私の場合は残業代は出ません
日本では残業代はもちろん支払われていましたが、駐在員になってからは残業代も給与に含まれる形態になっています。

よくも悪くも残業代はでないので、早く仕事を切り上げられればそれだけ単価はよくなります。逆に働けば働くほど時給単価は悪くなります。

駐在員の給与についてはコチラの記事でまとめています。
気になる方は是非チェックしてみて下さい。

労働時間の管理は?

日本企業で働く場合は、36(サブロク)協定と呼ばれる労使協定がありますね。

時間外労働の上限は、36協定では1ヶ月で45時間まで、1年間単位の場合には360時間まで残業をさせることが可能です。

特別条項の適用で更に残業時間の上限を増やす事も可能ですが、一般的には上記の月45時間というラインが1つの基準になってきます。この基準を守るように残業時間も管理され、過剰な残業時間は防止される仕組みになっています。

一方で駐在員に対しては、全くそのようなサポートはありません
私の会社では駐在員がどれだけ働いているのかを記録する仕組みもなく、正確な勤務実態は本人にしかわからない状態です。

どれだけ働こうが本人次第なわけです。
自分でしっかりと私生活と仕事の線引きをしないといけません。

イギリスの年間休日

イギリスの年間休日はたったの8日です。
因みに日本の年間祝日は16日ですので、ちょうど2倍ですね。

2021年のイギリス年間休日
・1/1  New Year’s Day
・4/2  Good Friday
・4/5  Easter Monday
・5/3  Early May Bank Holiday
・5/31 Spring Bank Holiday
・8/30 August Bank Holiday
・12/27 Christmas Day (振替休日)
・12/28 Boxing Day (振替休日)

イギリスの現地スタッフは、皆休みたいときに自由に休みます。
その代わり、日本の様なまとまった休日は基本的にありません。

では駐在員はどうかというと、私の会社では比較的自由にバケーション休暇などを取得しています。長期休暇の際は1週間不在なども良くある事です。

ただ日本勤務時と比較すると年間の休暇日数は少ないです。

駐在員はなぜ忙しい?

かえる2号
では駐在員はなぜ忙しいのでしょうか?

一般的に日本よりもより広範囲で責任を伴う仕事が増えますので、その分忙しくなります。しかしそれ以外にも、本質的な業務以外の面で時間を取られる事が多いのが実態です。

日本・現地の仲介業務が多い

まず第一に思い浮かぶのが、日本の本社と現地会社との仲介業務です。
海外拠点の駐在員には、本社から数多くの依頼業務が舞い込み、その対応業務に多くの時間を費やすことになります。

本社からすると、ロンドン現地の業務状況は駐在員がすべて知っているはず(知っているべき)だと思っている節があり、海外拠点の日本人を頼ります。単純に英語ができないので数少ない日本人を当てにするという面もあります。

これが担当業務であればまだ良いのですが、自分が主担当でない事でも色々と質問や確認依頼が頻繁にくる傾向があります。その場合は結局担当に確認して、それを日本語にして本社に連絡するという伝言ゲームになります。

そして逆のパターンも多いです。
現地社員が本社に何かを確認したいときに、日本とのコンタクトがある駐在員を頼ります。

これも本社側とのコミュニケーションができる土台がしっかりとできていれば問題ないのですが、内容や担当者の語学レベルなどに応じて仲介に入る必要性がでてきます。

このように本社との仲介業務に多くの時間を割かざるを得ないのは残念ですが、駐在員の実態です。

本来的な業務により時間を使う事が望ましいのは間違いありません。
しかし、駐在員は日本から派遣されており、いずれ帰国することが前提です。
それ故に日本側からの評価を気にせざるを得ないという事情があります。

それが将来の自分のキャリアや給料を決める要因になるかもしれませんので、無下に依頼を断ることは中々難しいです。

下手に対応を怠っていると、「あいつは仕事をしていない」と思われてしまうのが悲しい所ですね。

本社への報告事項が多い

もう一つは、本社への報告業務が多い事です。

本社側は、現地での業務状況・プロジェクトの進行状況などを逐一把握したがる傾向があります。そして、駐在員が定期的に現地業務状況をまとめて報告する必要があります。

これが結構面倒です。
なぜかというと私の担当業務以外の報告も要求されるからです。担当外のプロジェクトについては、進行状況を担当に確認して本社に報告することになるので、無駄に時間がかかります。これが残業時間を膨張させる要因になっています。

そして、残念なことに大抵の報告内容は本質的な意味はありません。

それをもとにビジネス・プロジェクトの方向性を決めるようなものではなく、定期報告という形骸化したものになっている面があります。

現地社員にはそのような報告義務はないので本来業務に集中できますが、私は報告業務に追われて本来業務に時間が取りづらくなる事が多いです。

そしてその時間を取り戻すために残業するという悪循環になります。

駐在員のつらさ

かえる2号
正直に言えば、ロンドン駐在員としての仕事はつらいです。
日本での環境に比べて、多忙なだけでなくプレッシャーも大きくストレスが増えます。

ここでは「駐在員ってつらいな・・」と思うポイントを私の視点でご紹介します。
マイナスの面ばかりになってしまいますが、駐在員の良い点はこのあとお話しますね!

駐在員のつらさ①:単純に業務量が多い

慢性的な長時間労働に海外出張なども加わり、単純に業務量が過大になりがちです。

毎日夜遅くまで仕事し、休日対応が必要なこともあります。
地味に辛いのが、現地社員はみな17時頃には消えていなくなることです。

毎日残業しているのは日本人だけ・・この状況を毎日経験していると、

「なんで日本人だけこんなに残業しているのだろう・・」

と仕事に対するモチベーションが下がり、気持ちが沈むこともあります。

それと同時に、正しい働き方というか「ワークライフバランス」を日本にいた時以上に考えるようになりました。

海外での仕事の捉え方・海外から見た日本人の仕事の仕方を知る意味では良かった点にもなると思います。

駐在員のつらさ②:プライベート時間が減る

これは業務量が多くなるので当たり前ですが、その分プライベートな時間が減ります。

自分の時間が取れない事もしんどいですが、家族との時間もすれ違いになりやすいのはつらいです。

私の子供はまだ小さいので、遅くに帰ると子供は既に寝ています。
子供と触れ合って遊んだりする時間が少なくなり、家族の時間が減ることになります。

駐在員のつらさ③:日本・現地で板挟み

駐在員は非常に特殊な立ち位置です。

現地の会社に属してはいるものの、どうしても日本を向いての仕事が増えます

日本からの依頼や報告事項など無駄な業務はありますが、日本側への対応を怠ると「なんのための駐在員なのか」「駐在員なのに・・」と思われてしまします。

その一方で、現地雇用の社員から見ると「駐在員はなにをしているのよくわからない」となりがちです。

当たり前ですが、現地社員は自分たちの担当業務を最優先します。
雇用形態として、各人の職務が明確になっている(それで給料が決まる)ため、「自分の職務」に対する姿勢は日本のサラリーマンを上回るものがあります。

しかし、駐在員の優先順位には「本社対応」という異なる要素が紛れ込んでいるので、「なにをしているのか良くわからない」となってしまいます。

現地雇用社員は、「自分の職務」を遂行する事で現地会社にその業績が評価され給料が決まります。しかし駐在員の給料は言わば日本から出ているわけです。

そして現地社員は駐在員の待遇の良さをなんとなく知っていますので、それが不満やすれ違いを生む要因にもなる可能性があります。

業務においても、現地と日本の意向が沿わない時に板挟みになることもあります。

駐在員のやりがい

かえる2号
ここまで駐在員のつらい部分をお話してきました。

しかし一方で駐在員でしか感じられないやりがいがあるのも事実です。

ここからは、私が駐在員で良かった!と思えたプラスの面をご紹介します。

駐在員になってよかった①:海外拠点事業に関わる仕事

駐在員として赴任すると、日本勤務時よりも1段上の仕事を求められます。また、自分の裁量で進められる部分もそれに伴い増えます。

海外拠点の事業拡張に関わる計画立案やプロジェクト推進など、責任感のある仕事を任せられることもあります。
また、日本では平社員だったとしても、現地社員をうまく管理しながら業務を進める管理能力も求められます。

このように日本勤務時に比べて、格段に業務責任範囲が広くなります。
海外拠点事業のビジネスへより直接的に関わる仕事ができるのは、駐在員としての大きな経験です。

加えて海外拠点は小規模なことが多く、現地法人の社長や部長クラスの人などの役職者との付き合いが増えます。そういった人たちの仕事を身近で見れる事も、とても良い経験になりますし、今後の社会人生活における人脈を築く上でもメリットがあります。

駐在員になってよかった②:ビジネスの全体像を捉える

駐在員として海外拠点で働く事で、自社のビジネスの全体像をより俯瞰して捉える事ができるようになります

私は日本で働いていた時は、海外拠点とはあまり縁がありませんでした。
しかし、海外拠点で働く事によって、日本での業務と海外拠点での業務が実体験として繋がります

また、自分の専門分野以外の業務に関わる機会も増えるので、他部門の業務との関わりも見えてきます。
日本の大企業では職務内容に応じて細かく部門分けされている事が多いと思います。例えば、営業部門・法務部門など色々あって、各部門内でもチームが複数分かれていると思います。

これら各部門が特に自分の属する海外拠点回りの事業にどのように関わっているのかの全体像を把握できるようになります。

そうすると、いままでぼやっとしかイメージできていなかったビジネスの流れを捉える事ができるようになり、業務理解を深める上でとても良い経験になります。

海外拠点の仕事を実体験として知ることができるのは、将来的に日本に帰って働く際にも、一つの強みとなると思います。

駐在員になってよかった③:異国で働く経験

日本の企業に就職した後に海外で働きたいと思っても、基本的には転職をする他ありません。転職するにしても高い語学力は大前提として、それプラス業務遂行に見合うスキルを求められます。

駐在員は日本の企業に属しながら海外で働くことができます。
この点は非常に良い点ですね。

イギリスの会社と日本の会社では、仕事に対する考え方やアプローチが異なっている点も多いです。また取引先などを通じてイギリスだけでなく欧州各国のビジネスのあり方・進め方や人々の物事の捉え方などの違いを肌で学ぶことができます。

現地の文化を直接学べることは大きな財産になります

日本で暮らしているとどうしても日本が基準になりますが、長期間の海外での業務・生活経験があると、自分の価値観を照らす基準が日本以外にもう一つ持てるという事です。

人間は慣れる生き物ですから、特に大人になると自分の価値観を揺らすような経験は中々できません。しかし駐在生活を通して、新たな気づきや発見などを得られます。

このような経験は、ちょっとの旅行や短期出張などでは中々得難いものだと思います。

駐在員になってよかった④:旅行が楽しい

私はイギリス駐在ですので、イギリスのみならず近隣の欧州各国に海外旅行に行きやすいのは大きな楽しみの一つです。

日本と欧州は遠く離れていますので、旅行に行こうと思うと費用面・旅程共に調整が大変です。しかし欧州各国は地理的には比較的コンパクトにまとまっているので、イギリスからの旅行は飛行機で3時間もあれば大抵の場所に行けます。

長期休暇の際に次はどこに行こうかな、など考えるのも楽しいです。
家族とかけがえのない時間を共有できますし、思い出にも残ります。

駐在員になってよかった⑤:給料が増える

駐在員になると、日本勤務時に比べてお給料が増えます
業務量や責任が増えることや、慣れない異国環境での仕事を余儀なくされるため、その代わりに給与面でのメリットが得られます。

給料が増えるので、その分を趣味や買い物・旅行に使ったり、貯金に回したり、金銭面での自由度が高まります。

海外駐在中は投資ができないという1点を除けば、十分なメリットがあると私は感じています。

私の2020年の貯金額については、こちらの記事でまとめています。
駐在員ってどのくらい貯金が貯まるの? って気になる方はチェックしてみてください。

駐在員になって良かったか?

「駐在員になってよかった?」

と聞かれたら、私は間違いなくYesと答えます。

仕事・生活面でつらく、鬱のように気が沈む時期もありました。
一方で楽しい経験も多くできました。

しかし、個人的にはそれ以上に人生経験として良かったと思います。
もちろん仕事面などメリットなど色々細かいことはありますが、極端な話そこはどうでも良いと思っています(笑)

「日本以外の場所で仕事・生活をする」という貴重な経験ができた事がなによりも良かったと思える理由です。
この経験を通じて、物事の見方も変わっていると思います。

この経験は確実に私の人生経験を豊かにしてくれたと思いますので、それが一番だと思っています。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

かえる2号
今回は駐在員の残業時間の実態から、駐在員のつらい点ややりがいをお伝えしました。
駐在員になりたいという方や将来的に赴任の可能性がある方など、参考になれば幸いです。